Avenue.4-0

四番街 タンゴな宵はコリアンダー
もしくは「涙目ボーイと多感なガール(前編)」の巻

 映画が、好きだった。
「映画館の息子」という特権を利用して、小さい頃から、たくさんの映画を見てきた。
 スクリーンに広がる未知の世界、ハラハラドキドキのストーリー、女優のきらめく姿、これでもかと感情をゆさぶる音楽……。
「総合芸術」とは言い得て妙だ、と思う。
 だから、自分でも映画をつくりたいと思ようになったのは、自然の成り行きで。
 おぼろげだった夢が、ひとつひとつ自分の手で組み上がっていくのは、それはそれで楽しいものだったけど、同時に「情け容赦なく現実を突きつけられる作業」でもあるわけで――。

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