台風の季節(5)

 ペデストリアンデッキの階段を降りきったところで、征也は足を止めた。ペデストリアンデッキを覆っている屋根はそこまでで、優香のいるであろうインフォメーションセンターまでは、雨の中を歩いていかなければならない。
 征也が立ち止まったのは、雨に濡れたくないからではないことは、康介とまゆみもすぐに理解できた。
 駅前からペデストリアンデッキを歩いている間に、康介とまゆみは、ざっくりといままでのいきさつを聞いていた。
 征也と優香は、お付き合いをしていたこと。
 ささいなケンカをしたこと。
 それ以来、メッセージを既読スルーされていること。
「ぬーたん」は、優香の推しキャラであること。
 たーぬんグッズをコレクションしていること。
 二年前に発売された十周年記念バージョンは、入手できなかったこと。
 仲直りをしようと思って、オークションで入手したこと。
 今日、優香が出勤だということを知って、直接渡しにいこうと思いついたこと。
 でも、直前で怖くなって、ゲートにくくりつけたこと――。
「いってらっしゃい」
 そう言って、康介は征也の背中を叩いた。すると、小さく頷いた征也は、ふたりの方を向いて軽く頭を下げたあと、インフォメーションセンターへ向かって、走っていった。
「大丈夫かなぁ……」
 まゆみが小さい声で言うと、
「さぁ?」
 康介がそっけなく答えた。「どうなるかはわからないけど、少なくともなにもしないより、いい結果になるのは間違いないんじゃない?」
 征也がインフォメーションセンターに入っていったのを確認すると、康介は回れ右をして、階段を登りはじめた。
「ところでさぁ」
 康介に続いて、階段を上がりながら、まゆみが聞いた。「彼に、どんなメッセージ送ったの?」
 まゆみは、征也が現れるかどうか半信半疑だったので、なんで康介は「たぶん来る」と自信を持っていたのか、不思議だったのである。
「――これ」
 康介は、スマホで征也に送ったメッセージを表示させて、まゆみに見せた。

突然のメッセージ失礼します。
あなたが置いてったぬいぐるみを預かっています。
取りに来なかったら、もらっちゃいいますけどいいですか?
そうすると、中に入っていた手紙も私のものってことになりますね。
私のものだから、ネットにさらしても問題ないですよね?

「……サイテー」
 低い声で、まゆみが言った。
「それくらい書かないと、取りに来ないでしょ」 
 そう答えて、康介はスマホを取り返そうとした――が、まゆみがスマホを放さない。「どうかした?」
「あれ見て!」
 まゆみは、康介とはまったく別の方向を見ていた。康介が、その先に視線を向けると、そこには……ブーツが一足、あった。
 階段の最上段に、きちんと揃えて、ブーツが置いてある。見た限りでは、雨に濡れてはいなさそうだ。
「なんでこんなところに……ちょっと!」
 なにか言いたそうなまゆみの手首をつかんで、康介は駅へ向かって走り出した。

Fin.

【水泳日記】コナミのレッスンが素晴らしすぎた件について

午後からさくっと。

○500
up 150
Lesson 250
down 100

先日、荻窪駅南口のコナミに見学しにいったら、「レッスン体験できますよ」ということなので、予約しておいたのですよ。
ちょうど「バタフライ中級」のレッスンがあったので、そこに申し込み。

レッスンの30分前に入って、ゆるゆるアップしたところでレッスンスタート。
コナミは、事前に名前をチェックして、定員制というしっかりしたタイプ。
で、1本目はキック。2本目が…いきなりスイム!
これは確かに中級だ!
どうやら、「25mバタフライで泳げること」が、レッスンの参加要件らしい。
……ま、泳げてない人もいたけど、定員に余裕があれば、そこを厳しくしても仕方ないしね。

キック-スイムがアップの様子。
そのあと、板なしキック→片手バタフライ→コンビのセットを2本ほど。
ひとり、同レベルの人がいたんで、もの足りなくはなかったかな。
久しぶりに片手バタフライやったのだけど。
そこで「びっくりするくらいいい感触」があって。
実は、バタフライの調子が良くなかったんで、どうしたもんかと悩んでいたのですよ。
「なんでうまくいったか」を思い返すと、「ひじを残してたから」にいきつきまして。
そういえば、ひじを残すのも忘れて、あわてて泳いでたな、と。
そんな発見もできて、いい体験レッスンでした。

そんなことより、指導内容にびっくり。
「第2キックはしっかり曲げて」とか。
「浮いてるときに第2キック(=浮力を使う)」とか。
「お腹に力を入れる」とか。
いちいち、指導内容がツボなのですよ!
いやー、最初からコナミに通っていれば、余計な苦労をせずに済んだのに!!

……ま、余計な苦労をしたからこそ、こんな本を書けたのだから、どっちがいいかは、悩ましいところだけど。
とにかく、コナミの指導は素晴らしい!
代表選手は、コナミとイトマンが多いんだけど、「そりゃそうなるよね」と納得。
そして、セントラルは、コナミから10年――いや、20年は遅れてる。
無料でレッスンを体験させてくれたお礼……にはならないだろうけど、「水泳がうまくなりたいんだったら、コナミ行け」と書いておこう(笑)
いや、ホントにおすすめ。

台風の季節(4)

「ホントにくるのかな?」
 ぬいぐるみの入った大きなビニール袋を抱えたまゆみが尋ねると、
「たぶんね」
 スマホを見たまま、康介が答えた。「当たっていれば、だけど」
 駅前のコンコースにいるのは、康介とまゆみのふたりだけだった。高架の下だから、雨はしのげるけれども、テーマパークの玄関口らしく華やかな雰囲気を演出するためか、広い空間が確保されており、そこを時折、強い風が吹き抜ける。
 臨時休園という情報が行き届いていたのか、いつもは待ち合わせの人であふれているであろうコンコースも人影はなく――ふたりは大きな柱に背を預けて、来るかどうか定かではない「犯人」を待っていた。
 たいぐるみと一緒に入っていた、手紙を発見したことで、ふたりはピンときた。あのお姉さん――優香は、この手紙を見つけたから、態度を変えたのだ、と。
 コレを預かれないのだとしたら最初からそう言うハズだし、預かれるのだとしたら、それは手紙が入っていようといまいと、関係ない話だ。つまり、「手紙を見つけたから、預かれないと言い出した」ことになる。
 その手紙には、宛名がなかった。中には書いてあるのかもしれないけど、少なくとも外から見えない。それなのに、手紙に気付いたところで、優香は態度を変えた。ということはつまり、その手紙が自分宛のものだと理解し、受け取りたくないから、とっさに「園内ではないから、警察に」という言い訳を考えた――ということなら、辻褄は合う。
「じゃあ、『これを置いたのは誰か』ってことが問題よね」
 まゆみの言葉に、
「検索するか」
 康介は答えた。
 中身であるぬいぐるみは「二年前に販売された十周年記念バージョンのぬーたん」だ。それがいまも新品のまま店頭で販売されているとは思えない。ということは、中古で購入したか個人売買で入手したか、だ。それなら、ネットで購入した可能性が高い。ネットで購入したのなら、その痕跡が残っているかもしれない。
 そして、そこまでして入手したのならば、SNSのどこかに、「入手できた」と投稿している確率は高い。つまり、そのふたつの情報を組み合わせれば、本人を特定できることになる。
 まゆみと康介は、手分けをして検索することにした。
 メルカリのヘビーユーザーであるまゆみは出品履歴検索を担当し、康介はSNSの書き込み検索を担当。
 康介はまず、「十周年記念バージョン ぬーたん 優香」で検索してみたがヒットせず。いきなり壁にぶつかったが、「優香じゃなくて、あだ名で書き込んでるんじゃない?」とまゆみが言うので、「優香 あだ名」であだ名を検索。「ゆうたん」「ゆうたろう」「ゆうかりん」「ゆっちゃん」「ゆーか」などをピックアップ。「優香」の替わりに、そのあだ名をあてはめて検索したところ、いくつかの書き込みがヒット。
 その中で「本人が買ったものではない」「まだ渡してない」「比較的最近」の条件に合った書き込みの日付と、まゆみの検索した出品履歴に記入されている落札日付を照合。アカウントの文字を比較して、「おそらく同一人物だろう」と推測した相手に、ダイレクトメッセージを送った――のが、一時間三〇分前。
「さっきのお店で待ち合わせってことにした方がよかったんじゃない?」
 しびれを切らしたのか、まゆみがそう言った。
「そんな遠くには行ってないだろうから、すぐに来ると思ったんだけどなぁ」
 そう答えて、康介はスマホに指を滑らせた。
 ――まだ、返信は届いていない。
「返信して」とは送ってないから、返信がくるとは限らない。むしろ、返信せずに直接来るだろうな……と康介は思っていた。
 康介が見つけたのは、こんな書き込みだった。

ゆーかの欲しがってた十周年記念バージョンのぬーたん、見つけた。
これで仲直りできるかな…

 このぬいぐるみが「仲直りのプレゼント」なら、直接渡そうとするハズだ。でも、そうしなかった。今日、ここまで来て――しかも、優香が今日勤務しているという確信して、今日を選んだのだろうに。
 なにがあったかはわからないけど、迷っているというのは、想像できる。
 だから、戻ってくるにしても、どうしようか迷うだろうから、返信はないんじゃないか……と、康介は思ったのだ。
 ゴゴゴゴゴ…。
 コンコースに、高架を走る電車の音が響いて――止まった。
「今度は乗ってるかな」
 まゆみが言ったとき、改札の向こうに、パラパラと階段を降りてくる客が見えた。――その中からひとり、小走りでこっちに向かってくる姿があった。
 かなりガタイはいいけど、気の優しそうな好青年――と、康介は感じた。
「DMくれた人ですね?」
 彼――征也は、康介に話しかけたあと、まゆみのかかえている「ビニール袋」をちらっと見て、「確かにボクのです。預かってくれてありがとうございます」
 そう言うと、まゆみの腕からぬいぐるみの入ったビニール袋を奪いとると、ふたりに背を向けた。すると、
「ちょっと!」
 コンコースに、まゆみの声が響き渡った。「このまま帰るつもり?」
 征也は足を止めると、ゆっくり振り返った。

【Web内覧会】ベランダ

リビングの窓の向こうがベランダ。

インナーバルコニー的に、一部引っ込んでるんで、やや広めかな?
APW330っていう樹脂サッシだからなのか、それともシャッター付きのせいなのかわからないけど、サッシの枠が想像以上に出っ張ってたんでびっくり。
普通のサイズだったら、きつかったかも。

そんなことより、この持ち出しタイプの手すり!
これがイイ!
壁の幅の分だけ、ベランダが広くなったようなもんだもんねぇ。
最初は、ベランダで洗濯物干す予定だったんだけど、ドラム式の洗濯乾燥機買っちゃったから、事実上このベランダは、おれの喫煙所(笑)
で、この手すりのところに腰掛けることもできる、と。
「ベランダは、小さな手すりでいいじゃん」と思ってる方、ベランダの手すりは断然、持ち出しタイプがおすすめ!

で。
内覧会のとき、この手すりのサイズが設計図より小さかったんですよ。
それで、
「手すりが短くなったんで、差額をなにか別のオプションを」
って申し出たんです。
だって、すでにある手すりを撤去するとなると、もったいないじゃないですか。なので、こちらから妥協案を出したわけ。
ところが、それをスルーされて、数日後、
「設計図通りにしました」
と。
どうやらミスしたのは、手すりのメーカーのようで、建築会社からメーカーに交換するよう要請があったっぽい。
てか、こういうのをさくっと処理させちゃったんで、
「オープンハウス・ディベロップメントって、結構力あるんじゃね?」
って思った出来事だったり。
力のある建築会社にお願いするって、重要なことなんだなぁ。

【Web内覧会】の過去ログはコチラ → http://omimi.com/?cat=54

コーチは教えてくれない水泳のコツ+<ぷらす>

「水泳は苦手」という方から、「年齢的に上達は無理かも」とあきらめてしまいそうな方まで、一般スイマーが末永く水泳を楽しむためのヒントを集めた「一生水泳を楽しむコツ」。
幾多の試行錯誤を繰り返してきた著者が、自身の経験を元に初級・中級者がステップアップするためのポイントをわかりやすく解説した「コーチは教えてくれない水泳のコツ」。
大好評販売中の2冊を1冊にまとめたお買い得版!!

※ご注意
本書は「コーチは教えてくれない水泳のコツ」および「一生水泳を楽しむコツ」の内容に加筆・訂正を行い、1冊にまとめた再編集版です。
著者に選手経験はありません。またプロのコーチ(インストラクター)ではありません。指導者の資格は有していません。

ストアリンク
Amazon Kindleストア

出版社のページ
http://www.breast-stroke.jp/index.php/petit-bunko/archives/78