粉瘤を除去したのですよ。粉瘤というのは、皮膚の下に袋ができてしまって、そこに老廃物が溜まっていく症状です。実は、腹部に10年ほど前から粉瘤があったのですが、お医者さんに「悪性腫瘍じゃないから、痛くないからそのままで」と言われ、放置していたのです。
ですが、痛み……というか、張ってきたので「そろそろ除去してしまおう」と思いったのでした。除去手術には、「切開法」と「くり抜き法」の2つがあるようです。くり抜き法の方だと即日手術してもらえるみたいなので、くり抜き法でやってくれる病院を探してみたところ、一番近いのが三鷹の病院だったのです。
小雨の降る中、三鷹の病院でさらっと手術してもらって、その帰り道。ふらっと武蔵境で下りたのです。
その日は、月に一度、嫁が実家に帰る「独身デー」でして。嫁は、豚肉・牛肉を食べないので、独身デーが唯一、ガッツリお肉を食べるチャンス。だから、「ちょっといいお肉」を買うために、クイーンズ伊勢丹へ寄ろうと思ったのです。
さて、今夜はどんなお肉にしようか……なんて考えながら改札を出たところで、そのチラシを見つけたのです。
<武蔵境駅から徒歩6分、5,670万円>
正直、相場まで詳しく調べてなかったので、それが安いかどうかっていうのはわからなかったのですが、「武蔵境駅から徒歩6分」は、魅力的でした。素人のわたしでも、そんな駅近物件は、なかなか出てこないことはわかります。
それまで探していたのは、主に西武多摩川線沿線。「どうしても西武多摩川線沿線じゃなきゃダメ」というわけではなくて。そりゃ、中央線沿線がいいんだろうけど、お高くて手が出ないんだろうなぁ、じゃあ西武多摩川線沿線か……ぐらいの感覚です。
そんな感じなので、「武蔵境なら文句ナシ」なわけです。
そのチラシを見ると、「土地+建物で6,980万円」という表示もありまして。変換すると「約7,000万円」ですよ。さすがにそれは……。
いま住んでるマンションが、だいたい4,000万円くらいだったのです。いまのマンションを売るにしても、この額は――なんて思いを巡らせていたところで、声をかけられたのです。
それが、オープンハウスのKさんでした。
前のめりで話しかけてくるKさんに、若干引きながらも、「本気で家を探している状況ではないこと」「たぶんウチには手が出ないこと」を伝えます。「でも、武蔵境駅から徒歩6分って、どんな土地なのか気になる」とも。
雨がしとしと降る中、現地まで歩いてみると、確かに「駅近」です。
話を聞いたところ、アパートが2棟建っていたところを更地にして、5棟の戸建てを販売する予定だとか。
一方通行ながらも、道路に面したところに2棟。その奥に3棟。南・東・北にアパートが並んでいますが、ギチギチってわけでもなく、陽当たりも悪くなさそう。ま、「陽当たり最高」ってことでもなさそうだけど。
どうせ暇だからと、そのまま吉祥寺のお店で、詳しい話を聞くことに。
クルマで移動する間、ちょろっと話たんですけど、そのKさんが田邉草民(FC東京)のお友達であることが判明!
さらに、同僚の営業マンは、元FC東京のユースで、武藤嘉紀(現1.FSVマインツ)と同期であることも判明!
わたしはFC東京サポなので、このつながりに縁を感じ……なくはないですけど、それで即決するものでもなく。なんせン千万円の買い物ですから。
そのあと、お店で上司のF津さんにバトンタッチ。
――どうやら、オープンハウスの営業マンは、「客引き」って感じみたいね。
とはいえ、自己資金も明確になってないし、具体的な話に発展するわけでもなく。
さらっとアウトラインを聞かせてもらったところで終了。
ぶっちゃけ、いい場所であることは間違いないのだけど、そこにそれだけ払う価値があるのか、まだわかっていなかったのですよね。資料の参考プランもピンと来なかったし。
ただ、「オープンハウスの建物が、べらぼうに安い」のは、理解できました。武蔵境の物件、2階建て・延べ床100㎡の家が、1,300万円で建っちゃうんですから。
嫁の実家が家を建て替えたときに、もっとかかったのを聞いてたんで、オープンハウスの建物が安いことぐらいは、理解できたのです。このときはまさか、この安さと格闘することになるとは、思ってもいなかったのでした……。