
いろいろと試行錯誤して、自分なりのバタフライ……「楽にゆっくり泳げるバタフライ」がなんとなく形になりましたので、記録に残しておきます。
※2025/07/16 一部修正しました
◆アウトライン
泳ぎ方をざっくりまとめると、
(1) 肘でアウトスイープ&足の甲で第2キック
(2) V字(くさび)型で水をかく(脇を締めていく)
(3) 胸を張って(肩甲骨を寄せて)リカバリー
(4) 胸を沈めて第1キック→グライド
…というステップになります。
◆泳法詳細
まずはアウトスイープ&第2キックです。このアウトスイープは「肘を開く」イメージで。肘から動かすと、そのあとのかき(ストローク)の自由度がアップします。
アウトスイープのタイミングで第2キック。第2キックは、進むためというよりは、足の甲だけで「ちょん」と打つ感じ。小さく打つのは、脚を伸ばす時間をできるだけ長くして、浮力を確保したいから。大きくキックを打とうとしてひざを曲げすぎると沈みます。
第2キックのタイミングについては、のちほど詳しく。
肘の動きでアウトスイープをしていくと、なんとなく腕が馬蹄形(U字型)になります。手の位置は、肩幅よりちょっと広いくらい。
アウトスイープしたときに、手の平が下あるいは内側に向いている場合は、そのままストロークに移ります。腰骨に向けてまっすぐに水を押すイメージで。軌道はV字型(くさび型)になります。人によっては「|| (平行線orレール)型」「)( (砂時計)型」とイメージした方が、わかりやすいかも。なにしろ「浅いところをかく」のがポイント。
手の平を外側に向けてアウトスイープした場合は、腕が馬蹄形(U字型)になったところから、手の親指を手前に引いてくる感じでストロークをはじめます。手の平は外側かやや斜め後ろを向いてる感じ。手の平で水を押さないので、筋力的負荷はこっちの方が少なくて楽かも。
ストロークの後半は、手を動かす(水を押す)というより「脇を締める」イメージを強くします。
脇がほぼ締まって(肘が体側につく寸前)、手の平がおへその位置あたりを通過したら、胸を張っていきます。あるいは「肩甲骨を寄せる」とか「肩を上げる」とイメージしてもOK。これで肩が水面に出ます。
胸を張りながら(肩甲骨を寄せながら)、手の平を体側に向けつつ、肘→手首と水から抜いていきます。
腕が水から出たらリカバリーですが、このとき、
・ゆるい猫背をキープ
・あわてずにそーっとリカバリー
を心がけます。「猫背をキープ」を意識しないと、背中が反ってしまって、そのあとの姿勢が乱れます。「そーっとリカバリー」は、ゆっくりなテンポをキープするため。逆に、テンポを上げたいときは、がばっと勢いをつけてリカバリーします。ただし、勢いをつけるとそのあと潜っていっちゃう(潜り過ぎちゃう)ので要注意。
リカバリーのとき、手の平は水面を向いてる方がいいかな?
よく「手の甲を進行方向に」と言われますが、わたしはやりません。骨格とか柔軟性とか筋肉のつき方で、やりやすいリカバリーは変わる気がします。あくまでも「違和感なくリカバリーできる形」を探しましょう。
腕を戻したら、親指から肩幅にエントリー(入水)。と同時に、胸だけ沈めます。
胸を沈めたら、すぐに浮力を感じます。その勢いで腹筋を縮めて腰の位置を戻して、上半身をまっすぐにします。そのときで膝が自然と曲がっているはずなので、膝下だけを使ってキックを打ちます。これが第1キック。
細かく書くと難しそうですが、「胸を沈める→ストリームラインに戻る」と意識すれば、だいたいこの動きになります。
これでストリームラインに戻るので、グライドします。グライドの時間は、長くしてもいいですし、短くしてもOK。ほどよくグライドしたら、肘のアウトスイープ&第2キックを打って、次のストロークに移る……というのが1サイクル。
◆第2キックのタイミング
第2キックのタイミングには、3つのパターンがあります。
・第2キック→アウトスイープ
・アウトスイープと第2キックを同時に
・アウトスイープ→第2キック
すべてのパターンを試しましたが……どれでもいいというか、「自分の好み」です。
わたしは「アウトスイープ→第2キック」がしっくりきてます。細かく書くと「アウトスイープで肘を開き始めてから第2キックの準備をはじめて、第2キックを打ち終わった直後に水を押しはじめる」というタイミングです。人によっては「アウトスイープと第2キックを同時」とイメージして、このタイミングになるかも。
第2キックが動き出しのきっかけになるので、第2キックを打ってからアウトスイープした方が泳ぎやすい人もいるかも。
タイミングより重要なのは、やっぱり第2キックの大きさです。
キックのモーションが大きくなると、バランスを崩して沈みます。なるべく水面付近に浮いた状態で泳ぐためには、キックを大きくできません。なので、タイミングより「小さく打つ」ことを優先したほうがいいと思います。
◆呼吸
上で説明した一連の流れの中で、抜けていたのが「呼吸」です。
呼吸ありのストロークの場合、まず第2キックを打つあたりから、視線を進行方向に向けます。これでかなり顔を上げやすくなります。
で、脇を締めていって、胸を張る(肩甲骨を寄せる)ときに、背筋を使って上体をそらします。そらすと同時に息を吸います。
バタフライでは呼吸のとき、どうしても力が入ってしまうのですが、極力余計な力を使わない方法を探していったら、強引とも思えるこの方法に行きつきました。
このフロートバタフライの場合、ほぼ浮いた状態で泳ぎ続けるので、ちょっと上体を反らせば、呼吸できる程度には、顔が上がっちゃうんです。
慣れてくると、そこまで意識しなくても、呼吸ができるようになります。
◆顔が上がらない場合は?
胸を張った(肩甲骨を寄せた)だけだと顔が上がらない場合は、
・しっかり前を見る
・手のかきを速くする
…の2点を意識すると、顔が上がりやすくなります。
◆呼吸のあと頭を入れるタイミングは?
呼吸のあと頭を入れるタイミングには、2パターンあります。ひとつが「頭→手の順に」、もうひとつか「頭と手が同時に」です。
いろいろ調べたり、自分でも試してみましたが…これも「基本的に自分の好み」だと思います。「頭と手が同時」だと空気を吸う時間を長くとれますが、潜っていきやすくなる気がします。
◆どううねるの?
フロートバタフライは、基本的にうねりません。外から見たらうねってるように見えるかもしれませんが、泳いでる人からするとうねっている感覚はありません。
上半身をちょっと沈めて、それがまた浮いて…の繰り返しです。
◆潜っちゃダメなの?
リカバリーのあと、潜っていくことも可能ですが……どんぶらこバタフライのように深く潜るのではなく、「浅く潜って、すぐに浮いてくる」ような感じになります。「平泳ぎと同じくらい」が目安。
◆キャッチは? プルは? プッシュは?
フロートバタフライの場合、キャッチもプルもプッシュも、ほとんど意識しなくてOKです。
水をつかんじゃうと、それを押すのに力を使うので、なるべくキャッチもプルもプッシュもしないで済むようなスタイルを探していたらこうなったので。
厳密には、このフロートバタフライでもキャッチもプルもプッシュもやってます。ただ、手の平のみでキャッチして、少ない力で長い距離を押してます。スローで泳ぐなら「小さいキャッチ・小さいプル・小さいプッシュ」で充分です。
◆キックの強さは?
よく「第1キックは強く、第2キックは軽く」とか言われますが……このフロートバタフライは「どっちも弱く」です。「キックを打とうと意識しない」ぐらいでちょうどいいかと。
キックのモーションが大きくなると、下半身が沈んで、水面の近くをキープできくなります。キックで進むよりも、「浮き続ける」ことの方が大切です。
ぶっちゃけ、クロール泳げる人なら、バタフライのときに「がんばってキックを打とう」と思わなくても、キックは打てちゃってます。
◆けのびが基本
フロートバタフライは、けのびの姿勢が基本です。「けのびをしていて、ちょこちょこ動かしたらバタフライになっちゃった」が理想。「少しでも長くけのびの姿勢になる」を意識すると、うまくいくかと。
◆おすすめの練習方法
・伏し浮きで胸を沈める
スローフラットバタフライで、一番わかりにくいのが「胸を沈める」じゃないかと思います。
これを習得するには、伏し浮きをして胸だけを沈めるドリルをやってみましょう。プルブイを使ってもOK。
腕は「肩幅にまっすぐ」程度がやりやすいと思います。逆に腕を揃えてると胸が沈みません。
「胸を沈める→浮力で元に戻る」ができるようになれば、フロートバタフライはできたも同然です。
・プルの練習
手(腕)の動きは、プルブイつけてゆっくりひとつひとつ確認するのがいいでしょう。多少肩が水から出なかったりもするので、泳ぐというよりはフリースペースで「浮いたまま動きを確認する」イメージで。
スローモーションで再生しているような速度感でOKです。
・1Fly1Br
バタフライのドリルで一番おすすめなのは、1Fly1Br。「1回バタフライ→1回平泳ぎ」で泳ぐドリルです。平泳ぎで呼吸ができるので、バタフライのときに慌てません。これで「力を抜いたバタフライ」を体に覚えさせていくわけです。
・浅いプールでスイム
水深の浅い(0.8mくらい)のプールでスイムをするドリルです。潜るとプールの底にぶつかっちゃうので、丁寧に泳ぐ必要があります。水面付近をキープするこの泳ぎ方には最適な練習場ですが、浅いプールは幼児用と設定されていることが多いので、幼児の利用者がいない時限定にした方がいいかもしれません。
◆おわりに
「バタフライをやり直そう」と思い立ったのが6カ月前。
目指したのは、楽にスローで、水面に浮いたままスイーッと進むバタフライ。
選手のようなフラットバタフライは、腕力で進むイメージなのですが、そうじゃなくて「優雅なバタフライ」がいいな、と。
そのイメージを目指して、あーでもないこーでもないと練習していたら、なんとかちょうどいいスタイルが見つかりました。
で、このフロートバタフライ、グライドの時間を短くすればフラット的に、がっつり潜ればどんぶらこ的に泳げます。だから、泳いでて楽しい!
楽に泳げるバタフライを手に入れたので、これからもバタフライで泳ぐ時間が多くなりそうです。
いまはまだ、バシャバシャ音を立てちゃってるので、次は「無音のバタフライ」を目指したいなぁ。