五番街 ポップな夜はペパーミント
もしくは「涙目ボーイと多感なガール(後編)」の巻
本が、好きだった。
「本屋の娘」という特権を利用して、小さい頃から、たくさんの本を読んできた。
ページをめくるたびに、頭の中に広がる無限の世界。読み終わった時の、うれしいようなほっとしたような恍惚感……。
絵本でもマンガでも伝記でも、ページをめくれるものなら、なんでも楽しめた。
でも、不思議と自分で本を描きたいと思ったことはなくて。
むしろ、この感動を共有したくて、ことあるごとにいろんな本を紹介してきた。それを「おもしろかった」と言ってもらうことが、自分の最上の喜びだと思っていたのだけど――。