電子書籍の読まれ方

先日、「ものがたり歳時記【2】」という電書を出したのですけれども。
Amazonからダウンロードしてきた本を開いてみて、ビックリしてしまいました。
開いたら、いきなり本文――短篇集なので、その1話目である「夏みかんの季節」――が表示されたからです。
「それが普通じゃないの?」と思うかもしれませんが、そういう設定にはしてなかったんで「ビックリ」したわけ。
いままで出した本は、「どこから読み始める」という設定をせず、最初のページ(中表紙)から読み始められるようにしていました。そして、いままではその通りになっていたのです。
ところが今回は、中表紙も目次もすっとばして、本文が表示されたのです。こちらで設定したわけではないので、Amazonさんの修正によるものです。
「移動」メニューを見てみると、最初に開いた「夏みかんの季節」が、「前付け」という区分の中に含まれていて、さらに混乱です。いや、それは本編だから! なんなら、一番力入れて書いたやつだから!
どうしてそうなったのか、どのようにすればそれを回避できるようになるのか――といった、技術的なことにも興味がありますが、それ以上に「電子書籍時代の、本の読みはじめ方」みたいなことを、考えてしまいました。

紙本の場合、どこから読み始めようと、読者の自由です。どこにでもアクセスできるので、中表紙から順にめくろうと、いきなり本文を開こうと、あとがきや著者(作者)紹介から読もうと、自由です。
電子書籍の場合、その本をはじめて開く時、なにがしかのページが表示されてしまうわけです。本人が「このページから読みたい」という意思とは関係なく、です。
ストアによって、対応は違っているのでしょうけど、Amazon(Kindle)の場合、本文から表示するような設定になっているようです。Kindle パブリッシング・ガイドラインには、「読者は目次の表示を予期します」って書いてるのにね。
いきなり本文から読むのが、電子書籍時代の、本の読み方なのか……という解釈もできますが。しかしですね。本文から開かれてしまうと、まえがきはどうするんだ、という問題が出てきます。

紙本の慣習で行くと、
表紙→まえがき→告知事項→目次→本文→あとがき→索引→奥付
のような構成になってます。
ひょっとしたら、この枠組みをとっぱらった方がいいのかもしれません。まえがきやあとがきは「本文の一部」として考えるべきだ、と。いや、まえがき・あとがきは、ない方がスッキリするかもしれないし。そこで説明する内容を、きちんと本文に組み込んで構成する、という方法がないわけではないし。
それと、目次ですよね。メニューから目次が表示できるのなら、「目次ページ」は必要ないのかも。少なくとも、「すべての人にとって必要な存在」ではないのかもしれないなぁ。
索引だって、検索すれば済むし、本文内に「このページも参照」ってリンク張ってもいいわけだし。

……とまぁ、、そんなことをグダグダ考えていたわけです。
すぐに「こうすればいい」って答えが出るもんでもないですが、「紙本とは違うのだよ」ということは、改めて意識しないとなぁ、と肝に銘じたいと思います。

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