サッカーは最初の5分を見よう

◆サッカーは最初の5分を見よう/後藤健生

世の中にたくさん「サッカーライター」を名乗る人はいるけれども、私が一番信頼しているのが、この後藤健生さん。なにしろ5000試合観戦に裏打ちされた説得力がすごい。

この本は、試合の前から試合が終わってからまで、どんなところに注目したらいいのかをわかりやすく書いた本だ。フォーメーションだの戦術だの、小難しい話はほとんどない。話の流れで、ちらっと出てくる程度。だから、普段からあんまりサッカーを見ないんだけど……という人も安心。むしろ、そういう人向けかな。

ただ、このタイトルは正直どうかと思う。だって、最初の5分がどーのこーのって話、ひとつかふたつだもん(笑)
なので、「最初の5分にどんな駆け引きが詰まっているかを、延々と書いた本」というわけではないので、安心していい。
時々、仕事の裏話も出てきて、おもしろい部分もあるけれど、「それは一般観戦者にはあてはまらないよなぁ」という部分もいくつか。
たとえば、後藤さんは試合開始の5分前につく、と書いているけど、それはスタジアムが「職場」な後藤さんだからであって、一般観戦者にはあまりおすすめできることじゃないと思うんだよなー。
コアのサッカーファンにとっても、サッカー観戦は「日常」だけど、通勤や通学のような5分前にいけばいい日常ではなくて、日常ではあるけれど「デート」程度の特別感はあるわけだから。
だからこの本は、解説書やガイドブックというより、「エッセイ集」という気持ちで読んだほうがいいかもしれない。

Comments are closed.