【書評】大どんでん返し創作法

◆大どんでん返し創作法/今井昭彦

最近では、キャラクターを中心としたストーリーのつくり方が主流な気がするのですが。
それが悪いわけじゃないし、メリットもいろいろあるのだけれども、その流れに一石を投じるのがこの本……といっても、過言ではないんじゃないかな。
「どんでん返し」というのは、ストーリーのクライマックスのこと。正確に言うと、クラスマックスのはじまるポイントなんだけど、ストーリーをキャラクターではなく、山場からつくるアプローチを解説しています。が、その方法論一辺倒ではなく、ストーリーの基本的要素もきちんと押さえてあるので、「ストーリーづくりの入門書」でもあったりします。

で。
この本は肝は「どんでん返しは10パターン」と言い切ってしまっているところ。
しかも、パターンの解説だけでなく、テンプレート化までされてる!
つまり、そのテンプレートに自分のキャラクター名を当てはめるだけで、あらすじが完成してしまうのです。
これはすごい!
このテンプレートを使えば、おそらくどんなコンテストでも、1次予選は通過するんじゃないかなー。

後半でドキッとしたのが、サブストーリーを用意するという「平行線」の話。
そういやメインストーリーだけでつくってること多いな……なんて思い返してたら、いま描いてる「Avenue.」の第1話で、ちゃんと平行線を使ってて、ちょっとほっとしたのはナイショ(笑)

ていねいでわかりやすく、論理的で説得力のある、実践的なストーリーづくりの解説書であり入門書なのが、この本。小説にしろマンガにしろ映画にしろ演劇にしろ、ストーリーをつくる人ならば、一読しておいて損はないでしょう。
これがこの値段ならお買い得。
特に「投稿してるけど、箸にも棒にもかからない」人は、一度このアプローチを試してみるべき。絶対。

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